201303月27日

安心して暮らせる街

妻から書いてみたら?と勧められたので想いを素直に。

誰もが安心して暮らせる街にしたい。
そう私が思うのには理由があります。
安心を作るための大きな課題のひとつと考えている障がい者施策のことについて、
今日は書きたいと思います。

産まれつき障がいをもつ方に限らず、私たちの誰もが不慮の事故や病気、
年齢を重ねること、時には災害によって、障がいを負う可能性を抱えて生活しています。
そうしたときに、今の制度は、街は、そして社会は安心してその後を送ることが
出来るようになっているでしょうか。

妻の弟は、二十歳のときに突然の病に倒れて植物状態となり、その後1年3ヶ月、
意識が戻らぬままの闘病生活を経て他界しています。
私は妻から当時の事を聞き知るのみですが、なるべく自宅療養をと望み
介護を一手に担った義母の心身の負担と、その経済的な負担は大変なものがあったそうです。
若年のために、利用できる福祉の制度がほとんどなかったこと。
生命維持に必要不可欠である痰の吸引機などが、福祉用品の補助の対象とはならず、
数万円の医療機器等を全て自前でそろえなければならなかったこと
民間の生命保険も、高度障害ということで、一度死亡と同額が払われたきり、
入退院を繰り返しても、一切の給付はなかったそうです。
介護のため、病院にいれば医療費として数割の負担で済むものが、全額自己負担に
なってしまうケースなどもあったとか。

このケースに限らず、多くの障がいを抱える患者家族は、多くが孤軍奮闘しています。
障がいをもつ子を養育する親御さんは、毎日の苦労に加え、自らの死後この子は
どうやって生活していくのかとの深い苦悩を背負っています。
妻は、以前当時のことについて河北新報社からインタビューを受けましたが、
その他多くの患者家族の声をとりまとめた本が出版されています。
その帯にはこう書かれています。
「孤絶する一人、苦しむ一家族のために、99人が配慮する社会は作れないのか」
私は、そんな社会を、街を作りたいと思っています。
誰もが、いつその一人になっても、安心して暮らすことが出来る。
そんな街を皆さんと一緒に作っていきたい。
弱者に優しい街は、間違いなく健常者にとっても暮らしやすい街であるはずです。

障がいをもつ方に限らず、今、多くの人は自宅で最後を迎えたいと思いながら、
ほぼ全ての方が病院で亡くなる現状があります。
そうした矛盾を解決するためにも、ひとつひとつの制度や運用を丁寧に
見直し、皆さんの明日への安心につなげていきたい、そう考えています。

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