202309月27日

【第三者機関の実践例を】

今回の海外派遣において強い関心を持っていた案件の一つが、イギリスにおける上級審判所の訪問。
訪問した上級審判所では政府の難民認定に対して第三者的立場から審判を下しています。

先の通常国会で審議された入管法に関し、与野党で修正協議を行いましたが、我が党が強く要求したのも、この上級審判所のような第三者機関の設置でした。
設置に消極的な政府与党から「第三者機関の設置を検討する」と法的義務を課す修正案を引き出すことができたにもかかわらず、我が党内では「我が党の案を丸呑みしないならば反対だ」との意見が強く、検討義務も課すことができず第三者機関設置への足掛かりは霧消してしまいましたが、それでも諦めず、法務委員会の委員長や与党筆頭理事らを連れて訪問することといたいました。

ご多忙の中、受け入れてくれたグレッソン裁判官をはじめ、複数の関係者から1時間以上に及ぶ詳細なイギリスの制度設計をご説明頂き、日々の上級審判所が果たしている役割は当然ながら、その存在そのものが放つ公正さへの貢献を目の当たりにすることができました。

イギリスをはじめ、ヨーロッパでは移民、難民への対応が最大の関心事となっています。日本とは桁違いに多い難民申請者や流入者をどのように取り扱うのか、人道主義と自国民との共生のあり方に苦悩しながら、政策を打ち出し、公正な仕組みを目指してきた歴史を感じます。

この面会の場でも話題となりましたが、いまイギリスは難民申請者の取り扱いに関して大きな方向転換を図ろうとしてます。そのあり方自体が最高裁判所で議論されている最中で、非常にセンシティブな時期でした。
それでも、その一つひとつの意見に日本の議論とは違った重層的で実践的な視点が組み込まれていたことは大変参考になりました。

同行した与野党の法務委員会責任者と法務省幹部らで、訪問後の移動のバスの中で早速「あの仕組みを日本で導入するならどんな課題があるか」等々、議論が始まり、その様子は、さながら結果として霧消した「第三者機関の設置検討」という修正内容を実践するものでした。

「グレッソン裁判官の自信に溢れた発言の一つひとつが印象的だったな」とは委員長の発言。

大変有意義な訪問となりました。

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