「10代の娘が性被害に遭った。裁判などで娘を傷つけたくない。かといって示談にしたら、その犯人が同じことを繰り返しまた別の子どもが傷つくのではないか。そんなことになればまるで自分が共犯者になったかのような気持ちになってしまう—」
友人からそんな苦しい胸の内を打ち明けられたのは3年前のこと。
それ以来、被害者支援団体をはじめとする多くの方々から性犯罪被害の実態を学び、性犯罪被害を一つでも減らすことをライフワークとして取り組んできました。2021年3月に党内でワーキングチームを立ち上げ、座長に就任。性交同意年齢(性行為に同意する能力があるとされる年齢)の引き上げや「同意」のあり方などについて数ヶ月に渡って議論を重ね、根強い反対もありましたが、座長として「成人は、いかなる理由を持っても中学生以下を性行為の対象にしてはならない」という方針を定めました。
法務省の審議会が行われている段階から、政府にも与党にも働きかけ、少しでも被害者の実態に沿った改正案を作れるよう努力してきました。
そしてついに、昨年6月、性犯罪の撲滅に繋がる性犯罪刑法の大幅改正法案が国会に提出され、私が筆頭理事を務める法務委員会で審議されました。この改正では、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられました。成人とは圧倒的な立場と環境の差がある中学生を性被害から守ることに繋がるものです。
また、これまでの強制性交等罪が、不同意性交等罪となり、性犯罪の成立には「同意」の有無が問われることが明確になりました。これまでの裁判で、性行為に同意していないことが認定されながらも、被害者が強く抵抗しなかった、暴行や脅迫がなかったなどを理由に、性犯罪として処罰されてこなかった実態を大きく改善するものです。
法案審議では、性交同意年齢の引き上げの意義や、この法律の意図する「不同意」の認識を社会に広めるべく、参考人として、性教育や性犯罪に関する発信をしているタレントのSHELLYさんをお招きし、「性行為の同意とはどのようなものか」を子育て中の女性の視点から語っていただきました。
政府から提出された法案は大きな改正を伴うものであったものの、いまだ不十分なところも多く、国会審議ではまさしく立法府としての役割が求められるものでした。そこで、野党第一党の筆頭理事として与野党各党に修正協議を呼びかけ、性交同意年齢の例外への歯止めや時効の更なる延長に向けた実態調査を強く求め、5年後の見直しを含めて附則に盛り込む修正案をまとめ上げました。
この改正は、多くの性暴力が暗数であると指摘され、性犯罪として処罰されてこなかった日本の現状を大きく変えるものです。この新たな一歩で、処罰されるべき人がしっかりと処罰され、社会の規範として性犯罪の抑止となり、 重要な社会変革の役割を果たすことを強く望んでいます。
“One is too many” 性犯罪は一つでも多すぎる。
引き続き性犯罪被害者に寄り添い、被害が一つでもなくなるよう更なる改善に取り組んで参ります。