202208月16日

【水害の深刻さ】


秋田全域、特に県北部での大雨が続いています。
連日の大雨で住居、インフラ、農業等、多くの分野に災害が発生しています。
立憲民主党秋田県連として対策本部を立ち上げ、現地視察を経て県に対する要望を早速まとめて提出したところです。

明日以降も雨予報が続き、今後一層の被害拡大が懸念されます。
水害と言っても、分野によって被る被害が大きく違います。
行政は一つ一つを丁寧に被害実態を聞き取り、できる限りの救済を迅速に行っていかなければなりません。
そして立法府に携わる身としても、絶えず立法措置の改善をはかり、不幸にして起きてしまった災害救済の枠組みを被害実態にあったものにしていきたいと思います。

ちょうど15年前、今回の水害でも被害を被っている北秋田市の阿仁前田地区に足を運び、当時の大雨被害の深刻さを目の当たりにしました。
その被害の深刻さのみならず、当時の被災者支援法の無力ぶりを被災住民から聞き取り、愕然としたものでした。
床上浸水にあい、被災後も何度清掃しても床が腐り、カビが生え、床を幾度取り替えても以前の生活に戻れない状態ながら、被災認定は軽微なものとなることが判明しました。
当時の支援法は、地震被害を中核に据えた被災認定で、水害による被害実態とは大きくかけ離れたものとなっていたのが原因でした。
法律の枠組みはしっかりしていても、その下部法令たる省令などで定められる被災認定が実態とかけ離れていることで全く有効な制度になっていなかったものです。

国会でその点を取り上げたことにより、与野党共に問題意識をもってもらったことで、支援法改正時に衆議院において「浸水被害、地震被害の特性にかんがみ、被害の実態に即して適切な運用が確保されるよう検討を加えること」との附帯決議がなされ、その後、内閣府において学識経験者等からなる検討会を設置し検討を行い、平成21年6月に運用指針を改定されました。

即時対応として、まずは行政が頑張ってもらわねばなりませんが、その行政も定められた法律の範囲でしか対応できません。
だからこそ、被害実態の把握、そして、法の執行の抜け穴のチェック、救済の過不足の見極めを政治側もしっかり把握しなければなりません。
立法府の対応はどうしても時間がかかります。それでも、その後の災害時には、以前よりは改善された対応がすることが可能になります。

災害は、生活の根幹を奪い取ります。
行政のみならず、立法側も全力を上げて役割をまっとうしていきたいと思います。

 

(参考まで、15年前の質疑を載せておきます)
2007年 衆議院 災害特別委

○鈴木委員長 次に、寺田学君。

○寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 大臣初め関係各位の皆様、よろしくお願いいたします。

 きょうは、今まさしく与党とそして私たち民主党も含めて議論しております被災者生活再建支援法に関しまして質疑をさせていただきたいと思います。

 今回、この改正の議論の中において、支援金の使途の制限をかなり柔軟に緩和したり、年齢制限を撤廃したり、支給額も上げていこうという話もあったり、また地割れ、今まで余り言及されていませんでしたけれども、宅地の下の地割れに関してもしっかりと配慮するようになったり、我が党としては遡及して給付したいという発想を持ったりと、さまざまな議論がされており、今の支援法に比べるとはるかに使いやすい法律になるのではないかなと私自身も期待しておりますし、私自身もできる限りの御意見というのは述べさせていただきたいと思っております。

 しかし、この法律というものが、実際に地震なり水害なり竜巻被害なりが起きたときに本当に役に立つかどうか、もっと具体的に言うと、この法律にのっとって本当にお金をもらえるかどうかというものの最大の肝というのは、法律の枠組みのみならず、内閣府を初めとする各省がつくられる府令、省令、そのたぐいで決められる具体的な指標にあると私は思っています。

 今、資料を配らせていただいております。写真を四枚と、あとはその指標に係る表です。

 大臣にまず、ちょっと冒頭お伺いしたいんですが、今お渡ししている写真、これは、一昨月、九月に我が県の北の方を中心に起きた大雨被害です。全県的にすべてが浸水したどうこうではないんですが、局地的に激しい浸水被害がありまして、農作物のみならず、住居という意味でも非常に甚大な被害が出ました。

 川と山のあるきれいな集落ではあったんですが、その川が増水をして、写真の一枚目にあるとおり、流木やら何やらが、この写真というのは阿仁前田というところなんですが、大体百世帯ぐらいあるところの大方の家を一階部分ぐらいまでのみ込みまして、木が通り、泥が通り、ヘドロがたまりという形の被害をこうむりました。

 まず、大臣、どうですか。この写真を見て、どのような御感想をお持ちになるか。いかがでしょうか。

○泉国務大臣 いずれの自然災害も同じ思いをするわけでございます。阪神・淡路大震災のときも私も現場に立たせていただきました。大変な被害で、どこから手をつけていいのかわからないような状況でございましたし、中越沖地震は若干時間を置いてのお訪ねをさせていただきましたが、それでも、本当に状況は惨たんたるものでございました。

 この写真を見せていただきますと、本当に、住宅地の中にこうした木々が横たわっておるということは、ここまで水が流れてきた、相当強い洪水であったということが想定されるわけでございます。

○寺田(学)委員 単純に、床上浸水という話を聞くと、ぴちゃぴちゃと畳の上に水がたまってというところを想像しがちですが、実際、台風などを伴った床上浸水となると、やはりこのようなひどい災害が起きてしまうということだと思います。

 これも予測で結構です。この集落自体が約百軒弱ぐらい床上浸水等したんですけれども、この中で、この法律によって支給をされた住居は何軒あると思いますか。御想像だけで結構です。ほとんどの家庭が、今のこの写真であるとおり、一階部分をほぼ大きくのみ込まれて災害を受けましたけれども、この支援法によって、あなたのところに支援金をというふうな運びになった住居は何軒あると思いますか。

○泉国務大臣 正確ではないかもしれませんが、全壊が五戸でしたから、多分、この五戸は間違いなく対象になっておると思います。

○寺田(学)委員 そこは間違いでして、北秋田市で全体的にいきますと五軒あるんですが、この集落は百軒弱ですけれども、たった一軒です。このようなさんざんたるような状態になろうとも、この法律はたった一軒しか救えなかったんです。

 救うといっても、全壊認定でどれぐらい最大お金が出たかわかりませんけれども、正直なところ、この法律によって期待はしましたけれども、みんな、何だ、お金は出ないのか、私のところは半壊なのかということで、大きな失望をこの法律に対して抱いたのが先々月です。

 大臣は、きのう参議院の方で、同じく秋田県出身の鈴木議員から質疑を受けられて、この法律自体は一人一人を勇気づけるための法律でありたいんだというお話ですが、事この集落のことに関して言うと、全員が失望した法律でもあります。

 その一番の原因というのは、水害に関して内閣府で定めている指針自体が著しく水害に対して厳しい判定をする仕組みになっているのが原因の一つだと私は思っています。

 この秋田の件だけじゃないんです。きょう、大臣を含め委員の皆さんの御地元にどういう水害があったか調べたんですが、やはり皆さん、多くの水害被害というのを御地元で受けられています。

 まさしく大臣も、平成十五年、御地元は福岡でよろしいですよね、福岡で梅雨前線豪雨災害というのが起きました。床上浸水が三千二百六十六件、福岡県の全体の中で出たんです。この中で、この支援法の適用を受けてまさしくお金が支給される全壊認定というのは、三千二百六十六件の中でたった十七件なんです。だから、三千何件もの床上浸水、このような形であったかどうかは別として、甚大な被害をこうむった床上浸水を受けていながら十七つしか支給額が認められず、また、改正前ですから、非常に使い勝手の悪い支給金だった、そういうことになっているんだと思います。

 ですので、すごく言い方は悪いんですが、水害や洪水にとってこの法律というのはほとんど役に立たないんです。ですが、水害というものも、地震というものも注目されますけれども、やはり頻度としては地震よりも多いですし、被害という意味でも、地震にも匹敵するぐらいの被害が起きるということをまずは前提として御承知いただきたいと思うんです。

 その上でお伺いしたいんですが、この法律自体、大きく分けて、地震による被害と浸水による被害というような二つを大きな柱として掲げていますけれども、地震による被害というのはどういう特質があるのか、また、水害による被害というのはどのような特質があるのか、ここら辺の差も含めて御答弁いただけたらと思います。

○泉国務大臣 地震による住宅被害が生じた場合は、住宅全体が外力によって被害を受ける、物理的に破壊される被害が生じる。したがって、地震による被害というのは、強い場合は住宅全体に及ぶという特色が一つあると思います。

 一方で、浸水による住宅被害が生じた場合は、吸水等により部材等の機能の劣化が生じることが多いわけでありまして、浸水による被害は、一般的には機能劣化によって生じる部材等に限られておるということが言えると思います。

 しかし、浸水被害をもたらす場合、先生も御指摘ございましたように、台風と一緒に来るというような、外圧を伴って、外の圧力を伴ってくる場合もあるわけでありまして、強風やあるいは堤防の決壊による、先ほどの、木が流されてくるような非常に強い水圧を伴ってくる水の流れもありますし、土石や泥流の流入によって物理的に被害を受ける場合もあるということでございます。

 大まかに申しますと、地震は物理的、そして浸水は機能劣化。しかし、時と場合によっては、両方あわせて生じる被害が水害被害であると思っております。

○寺田(学)委員 視点を変えますけれども、地震被害にはなくて水害被害にはある、そのような被害、具体的な被害というのもあると御認識されておるのでしょうか。いかがですか。

○泉国務大臣 もう一度、恐縮でございますが、お願いします。

○寺田(学)委員 私が申し上げたいのは、この写真の二枚目をごらんになっていただきたいんですけれども、二枚目の下の部分、これは浸水に遭った御家庭の内壁です。これは水害に遭った直後ではなくて、つい先日、水害から四十日後の写真です。何が起きているかといえば、もう四十日たって、ヘドロをかき出して一生懸命乾かしてもカビが生えるんです。四十日たっても、晴天の日でも下から水がじわじわ壁を伝わってしみてくる。これはまさしく地震にはない、特筆すべき、浸水だけの、その二つを比べるとすれば、浸水だけの被害だというふうに私は思うんです。

 このような形で、地震にはない、水害だけの、浸水だけの被害というものも起こり得るという認識でよろしいですか。

○泉国務大臣 先ほど申し上げましたように、機能劣化という意味では、浸水だけでこういうお示しいただきました被害が生じることは考え得ると思います。こうやって写真があるわけですから、現実にこういう被害が起きておるということでございます。

○寺田(学)委員 地震にはなくて水害、浸水系にはあるというのは、私はたくさんあると思うんです。地震にもあるんでしょうけれども、まさしく住居の一階部分がすべて泥流によって流されれば、その一階にあるものは、たとえ防水専用の時計であっても壊れます。テレビは当然壊れますし、そこにあった衣服はもう使えませんし、もうすべてのものが使えなくなります。

 地震は、その程度によりますけれども、たんすの部分が、中身だけは何とか取り残せたというところもあると聞いていますし、もちろん、すべてが崩れて使えなくなったというのもあるのかもしれませんが、水には浸っていませんので、多少災害が起きたとしても使える部分というのは残っている。ただし、水害においてはほとんどすべて持っていかれる。そして、四十日たってもカビが生える、腐る、においがひどい。トイレ等も、一度水に流されますともうほとんど衛生的には使えなくなります、中身が全部出てきますから。

 そういう意味において浸水の被害というものは、地震とは非常に違うんだ、具体的には、結構違う被害が出てくるものだし、時間差をかけてじわじわと被害が迫ってくる、そういう災害であるということを前提に置いていただきたいと思うんです。

 そういう意味でいうと、御省が出されている災害に係る家屋の被害認定基準運用指針であるとか、さまざまそれに関する参考資料等あります。これ自体が、以前、平成十三年かいつかにつくられた協議会の中で、ある程度の骨格を決められて、政府の方で一つの指針として出されているんだと思いますが、まず、水害の悲惨さをしっかりと認識していないという点が一点。

 その中で、被害を認定する際には、地震の被害認定項目を基礎としながら、そこから一個、二個項目を抜粋する形で水害、浸水系に準用しているという点。そしてまた、地震の方には事細かにいろいろな、細部にわたるような指標があるにもかかわらず、浸水系になりますと大ざっぱな枠組みしかないというようなことが、大臣の御地元でも、三千件を超えても十何件、こちらの被害においても、百件以上このような形でもたった一件という結果につながっているんだと私は思います。

 お渡しした資料の、表がついている方をぜひともごらんになっていただきたいんですけれども、この表の右側の上の部分、これがまさしく、あなたの災害というのはどれぐらいですか、半壊ですね、大規模半壊ですね、全壊ですねということをはかる指標です。

 細々としていて私自身も理解するのに時間がかかったんですが、この右の部分の、地震による被害(第三次判定)と浸水による被害(第二次判定)をごらんになっていただければわかるんですが、屋根であるとか柱であるとか床であるとか外壁、内壁、だあっと設備まであります。これが各パーセンテージごとに積み上げられて地震の場合は一〇〇%になります。しかし、浸水の場合は、柱と基礎の部分を抜かれるので七〇%になるんです。

 この一〇〇%、七〇%の中で、五〇%を超えれば全壊でお金が出ます。四〇%を超えると大規模半壊で多少お金が出ます。それ以下は全く出ません。ですので、この仕組み自体を考えてみても、一〇〇%のうちに五〇を超えるのか、七〇%満額のうちに五〇を超えるのかでは、全くそこの数字が変わってくるんだと私は思うんです。

 そしてまた、さっき大臣にも述べていただきましたけれども、水害、浸水と地震は被害の体質が違う部分が多々あるにもかかわらず同じようなパーセンテージ。恐らく、水害の方でいけば、床の方なんてもっとひどく壊れるはずなんです。ですが、床も地震と浸水は同じ。さまざまで、屋根自身も、浸水に関していえば、一階自体が水に流されるとすれば屋根自体はそのままになる可能性だってあるわけですよね、屋根は残っていたり。そういう意味で、浸水による被害の実態をまさしくとらえていないような項目立てになっていると私は思うんです。

 なぜこういう項目立てにしたのかということを今からお伺いしたいと思っています。

 まず、浸水による被害というものを、満額一〇〇ではなくて上限七〇にした理由というのはどこにあるんですか。

○加藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御答弁がございましたが、地震等と水害の場合の被害の差を反映しているというふうに考えていただければと思います。

 地震等による被害では、部材等が外力によって物理的に破壊される被害が発生するということでございますが、浸水被害の場合には、損害割合の算定については、外力によるものではなく、吸水等により部材等の機能劣化が生じるなどの被害が発生する住家を想定しているということでございます。

 したがって、そういう考え方で構成しているものですから、浸水等によって家屋の基礎、建物の基礎とか柱については被害が生じないという考え方で成り立っておりまして、反対に、いわば対象として、屋根の一部ですとか床の一部、外壁等七項目をその被害対象項目としているということで、全体としては一〇〇%までに至らない、今お話しのようなパーセントが全体を構成するものだというようなとらえ方をしているということでございます。

 ただ、これも大臣がおっしゃいましたけれども、浸水の被害だけじゃなくて、一緒に外力が発生する、例えば土石流等々、あるいは風なんかもそうです、いろいろな被害があわせて発生する場合がございます。そういう場合には、浸水被害だけじゃなくて、同時に外力によって柱や基礎等にも被害が生じているという場合が当然ございます。そういう場合には損害割合は一〇〇%に近づいていく、こういう考え方でございます。

○寺田(学)委員 いろいろと理由を述べていただきましたけれども、端的に、一〇〇%でやって、本当に実態的にそれは四〇なのか、三〇なのか、七〇なのかはかればいいものを、最初から七〇を上限にする必要はないと私は思うんです。もっと言えば、本当はこれは浸水の実態に合わせた形で、いろいろ地震とは違った組みかえをすべきだと思うんですが、まさしく、上限が七〇になっている、これがまず一つ、浸水がほとんど全壊認定されない、そういう理由になると思っています。

 写真の二枚目の中の床の部分も見てほしいんですが、住宅の床の損傷というのは相当ひどいんです。こんなのでこれから使い続けろというのは、だれしもが思わない話です。下のカビが生えている壁に関しても、これは床もひどいんですが、床は二回取りかえたそうです。一回新しいものに取りかえてもまたカビが生えたので、もう一回取りかえた、それでもだめだ、今度は壁だという話だそうです。ですので、さっき統括官が言われていましたけれども、地震に比べてどうこうという話ではないぐらい実質的には被害が出ているんです。

 では、算定がどうなるかということなんですが、いろいろ資料を見ていただいて恐縮なんですけれども、お渡しした表の右上の部分、浸水による被害というのは、床(階段を含む)は一〇%なんです。七〇%のうちのたった一〇%しか床はカウントされないんですが、その一〇%がどれほど壊れているかというのが下の表なんです。下の表の左側、地震と浸水、床(階段を含む。)(構成比一〇%)、浸水も同じように書かれていますが、損傷程度というのは、右側にパーセンテージであります。

 この損傷程度、地震の方は五段階あるんです、一〇%、二五%、五〇%、七五%、一〇〇%。浸水の方は二五%と五〇%しかないんです。これは何を意味しているかというと、幾ら壊れていても、浸水によって受けた床の被害は五〇%までだ、全部壊れたとは言わないというのがこの指標だと思うんです。

 試しに、統括官、参考人にお伺いしたいんですが、添付した写真、このぼろぼろになっている床、これは一見したところでわからないとは思いますけれども、浸水による損傷程度、二五%、五〇%とあるんですけれども、これは何%になるんですか。

○加藤政府参考人 失礼します。

 この写真で見て直ちにわかりませんが、例えば床について申し上げると、床は、床の土台と載っている床で構成されていますので、これでいうと、土台の部分については恐らく、例えば、上の部分は確かにだめなのかもわかりませんが、土台がしっかりしているという前提であれば二五%ぐらい、その下位の方にひょっとしたら当たっているのかなと。ここは私ははっきりわかりませんけれども、全部がだめですと当然五〇%になる、こういうことになると考えています。

○寺田(学)委員 では、この写真ではなくて、この写真よりもっとひどく、床の板が全部なくなり、土台もぼろぼろになったときに、何%になりますか。

○加藤政府参考人 それは、今の段階で言えば、最大の五〇%の方になろうと思います。

○寺田(学)委員 大臣、おかしくないですか。全部なくなったって浸水の場合は五〇%しかカウントされないんです。ここで五〇%しかカウントされない場合は、さかのぼって言うと、七〇%、全壊であれば五〇%以上。その分母の七〇%、浸水の七〇%の中の一〇%が床を含めています。その中の最大でも五〇%しかないですから、全体の積み上げでいくと五%にしかならないんです。床がどれだけぶっ壊れていても、たった五%ですよ。

 そういうものを積み上げていって、全体としてあなたの家は全壊ですねと言われるに至るまで、五〇%まで積み上げていくのはほぼ不可能ですよ。床を二回も取りかえている。取りかえるということは、機能がほとんどないからですよ。さっき言われたとおり、機能がほとんど滅失しているんですよ。けれども、今の指標は五〇%しか壊れていないという認定になっている。地震になれば一〇〇%まであるんです。上の表を見てみれば、七五%の程度四、程度五、いずれの項目を見てみても、この写真には当てはまるはずです。

 大臣、おかしくないですか。いかがですか、御感想をお願いします。

○泉国務大臣 今個々具体的なお話を承って、確かに御指摘の点は、うなずける点もございます。

 しかし、一つのルールを決めて被害の算定をしていかなければならないという現実の中で、恐らく多くの例の中から、こういう比率が適当である、適切であるという今日までの経験則、実績に基づいてこの比率が決まっておるというふうに私は思うわけです。しかし、これからまた、先ほどのカビなどについて、現実に使いづらいというようなものについては、これは全壊というか、そういう扱いも考え得る余地がある。

 カビ等の被害によるものについても、この支援法の中では、いずれ解体をしなければならない、現実には全壊と同様に取り扱って差し支えないというような通達を出したりいたしておりまして、実態に即して、これからの基準を変えていかなければならない部分があるとすれば、柔軟な対応は必要だということを申し上げられると思います。

○寺田(学)委員 残り五分ですので、大臣にお伺いしますけれども、やはり一目しておかしいんですよ。大臣自身も御専門が土木をされているという意味で、非常に御見識が高いとは思いますけれども、被災者にしてみれば、やはりこれは壊れているんですよね。壊れていて、地震にはないいろいろな、これからカビだ何だという被害を長期間にわたってこうむらなきゃいけない中で、今の指標というのは、私は再考の余地が必ずあると思っています。

 この指標をつくるときに、ちょっと年度は忘れましたけれども、災害に係る住宅等の被害認定基準検討委員会というのを開いて検討を行った結果、さまざまこういうものが出てきたという話を私は承知しているんですけれども、どうでしょう、この委員会、今回改正されますから、新たにこの指針を改めていく、そういうような会をまず開こう、その中で検討していこうという大臣の御指示を今この委員会でいただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

○泉国務大臣 先ほど統括官からも御説明いたしましたし、被害認定に迅速性と的確性という両方が要求されている中で、運用は実態に即してと、こういうことがございます。

 ですから、委員会をつくって直ちに再検討するということは申し上げかねますが、いろいろな被災の実態を踏まえて、より現実に、現場に合うような物事に変えていくという方向性は申し上げておきたいと思います。

○寺田(学)委員 そこは大臣なんですから、はっきり検討会ぐらい開きましょうと言ったって、それは別に、どういう内容になるかはまたそれからの話なんですから、大臣にはそこ自身まず言っていただきたいのが一点。

 今回、与党案の部分も拝見していますけれども、全壊認定を受けた後も、補修をするのであれば何百万、再建築するのであれば何百万と差をつけております。ここは、全壊というものが、修理をしてもいいような建物であるということを浮き彫りにしているんですよね。今までは、全壊というのは、基本的にすべて壊れていて、建て直す以外だめなんだという発想に立たれていたんだと私は思うんです。

 きのうも統括官の方が参議院の委員会の方で、半壊のことを言うとき、我が党が半壊を含めろという話を主張しているときに、半壊は直せば住めるじゃないかという話をしていたんですが、今回、与党案の中においても、全壊認定をしても、直しても住めるような状態であるということを前提にした仕組みづくりをしているんですね。そういう意味においても、私自身、個人としては全壊とか大規模半壊とか半壊とか、ネーミング自体変わるべきだと思いますけれども、そもそものその定義自体がかなり変わってきているんです。

 そういう意味も含めて、再度お聞きします。検討会を開きましょう。よろしくお願いします。どうですか、大臣。

○泉国務大臣 この支援法自体も、いろいろな御意見の中で随分と使いやすくなる方向に動いておるわけでありまして、先ほど来申し上げておりますように、被災の実態に対応できるような認定ができる仕組みをこれからつくっていきたい。そのことを、直ちに委員会を開くかどうか、検討をさせてください。

○寺田(学)委員 望んでいたところよりはちょっと一歩後退の、検討会を開くかどうかを検討するというところで……(発言する者あり)十分だろうという話が今出ましたけれども、皆さんの御地元でも必ず水害は、委員長のところでも起きているんです。僕は全部調べました。本当に多くのところで起きていて、この支援法が頼りになって、今回、大きな形で使途制限がなくなりそうだということで期待を抱いている。それで、いざ被害を受けて、それを頼みに行ったところ、私にとってみると実態を全く踏まえていないような指針が妨害をして一円もおりなかったということになることだけは、私はどうしても避けたいと思っております。

 大臣、検討会を検討する、その段階では私は満足しませんけれども、大臣も言われたとおり、おかしいんですよ、今の指針は。なので、それを御記憶にとどめて、必ず大臣が御在任中に、検討会を開け、その検討会の中で、今のおかしい水害の部分、もう少し実態を踏まえた形にしろという御指示をいただけることを切にお願いします。

 多分一分ぐらいあると思いますので、最後に御答弁だけお願いします。

○泉国務大臣 先ほど来いろいろな御指摘をいただき、実態と離れている部分があることはよく承知をいたしました。それを踏まえて対処させていただきます。

○寺田(学)委員 よろしくお願いします。

 質問を終わります。

 

 

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